マグロの突進遊泳速度は90~100キロ?

泳ぐ速度の測定は難しい

海の魚には広く回遊するマグロのような魚とカレイなどのようにあまり移動しない魚がいます。高速で泳ぎ回る魚の筋肉は赤身で、あまり運動しない魚が白身なのはよく知られています。

マグロは「泳ぐのを止めると死んでしまう」と言われていますが、これはなぜでしょうか? 家庭で観賞用として飼われることが多い金魚は泳いでいない状態で口をパクパク動かし、水を口からエラに流して呼吸していますが、マグロにはエラぶたに筋肉がないため、自分で動かすことができません。

そこでマグロは口を半分開けて泳ぐことで、口からエラに自然に海水が流れて水に含まれている酸素をエラの表面から取り込んでいるのです。つまり常に泳いでいないと海水がえらに流れないため、窒息して死んでしまうというわけです。

窒息しない程度の速度で泳ぎ続けることが必要なマグロですが、マグロはどのくらいのスピードで泳ぐことができるのでしょうか? 魚の泳ぐ速度には1秒間にその魚の体長の何倍の距離を泳いだかという「体長倍速度」という速度が用いられます。

身体が大きくなるほど効率よくエネルギーを利用できるため速度は速くなります。普段、マグロはいくら泳いでも疲れることのない1~2体長/秒で泳いでいますが、エサを追いかけたり、サメなどから追われるときには12~15体長/秒で泳ぐことができるとされています。

2メートル程度の大型のマグロなら最大で時速90~100で泳ぐことができるという計算になりますが、あくまでも1回せいぜい数秒間で、これを30秒間隔で10分間ほど繰り返すことができるくらいです。

マグロは海の表層から光が届かないと考えられるような深層まで生息しています。生息水深が最も深いメバチマグロは網膜にタペータムという組織があって吊り上げた直後に眼が光ります。ネコや夜行性の動物の眼にある反射鏡のように光を集める仕組みになっています。

他の魚類に比べてマグロの視力は0.3から0.5と高い視力を持っていますが、形態視覚よりも運動視覚つまり動態視力が優れているとされています。聴覚についてマグロ類は、他の魚よりも低周波の音に感度がよいとされています。また水中の振動などを感じる「側線」と呼ばれる感覚器官が発達しています。群れで遊泳行動している際にぶつからずに泳ぐことができるのはこの器官が発達しているためです。

またサケと同様に優れた回帰本能を持つことでも知られています。クロマグロは沖縄から台湾沖の海域で生まれ、太平洋を渡り、成長して日本近海に戻り、最終的には産卵場である沖縄近海に帰っていきます。

誕生時に僅か3ミリ程度に過ぎない仔魚が生まれた海の記録を持ち続けているのか、あるいは何かほかのシステムがあるのかどうかは現在の研究では明らかになっていません。