天然由来の親魚から卵を取り、孵化した稚魚を飼育して次世代の親にします

マダイやヒラメなどの主要な養殖種類における完全養殖は既に実用化されており、ブリ、カンパチについても実験的に完全養殖は達成しており、実用化に向けて研究開発が進められています。

完全養殖の工程は、まず天然の親魚を水槽もしくは生け簀で飼いならして、親を成熟させます。海産魚類の多くは直径1ミリ程度の受精卵を何万から何十万個産卵しますが、生簀では産卵しても受精卵が潮流で生け簀の外に流れ出るため、通常は陸上の水槽内で自然産卵させ、眼の細かい網で卵を集めます。

そして孵化した仔魚から稚魚を育て、今度はその稚魚を次世代の親として産卵させます。自然の大海で泳いだことのない親が卵を産めば、晴れて完全養殖の完成となります。2013年現在、クロマグロの完全養殖に成功しているのは近畿大学水産研究所だけです(動画参照)。

クロマグロの場合、多くの種苗生産機関が天然稚魚を親魚の候補としていますが天然の発生群が少ない年は予定していた幼魚が入手できないこともあるため、受精卵の確保で問題を抱えています。人工種苗を親魚にして、産卵させる完全養殖の技術があれば、天然資源の影響を受けることなく持続的に養殖が可能となるのです。

また完全養殖のサイクルを進めていくうえで、成長が早いとか病気に強いなどの養殖に適した性質を持つ個体を選抜することで、そのような形質を持つ系統を作ることができる点も完全養殖の優れた点です。